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続・U設計室web diary

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2013年 02月 22日

黄金の茶室・再考

黄金の茶室といえば秀吉が造らせたもの
復元したものが熱海のMOA美術館に展示されています。
僕もずいぶん前に見に行きましたが
その印象は「成金主義」として評価は低いものでした。

金箔を貼った壁・天井、赤い紗が張られた障子、金の茶道具と
お金はとてもかかっているがピカピカしすぎて目に痛く
とても美しいとは思わなかったのです。

ところが、
先日のTV日曜美術館での話に目から鱗の驚きがありました。
その解説者の茶人が仰るのは
この組み立て式の運搬可能な茶室が置かれたのは
京都御所や名刹の常人が近づけないような奥にある高貴な場所。
日中でもほの暗い部屋で
しかも夜は
菜種油による灯りだけ。
現在我々が見ているような
明るい日照や照明の下ではなかったというのです。

実際、菜種油の灯りで照らされた
黄金の茶室の室内は趣を全く異にします
きらびやかな金は輝きを抑えられ
豪奢から幽玄といった趣に。
赤い障子もほの暗い室内では落ち着いた色になり
ピカピカと輝いて成金趣味としか見えなかった茶道具は陰影を増し
職人の手の跡が見える上品な茶道具に一変します。

菜種油の灯りで照らされたこの光景こそが
黄金の茶室の真の姿だというのです。
これが秀吉や時の天皇が見ていた光景なのか
美しい!
イヤー、実に驚きました。

by u-och | 2013-02-22 13:10 | Architecture | Trackback | Comments(0)


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