2013年 07月 25日
先日、前川國男事務所の重鎮中田準一さんから 旧・前川國男邸のお話を聞く機会に恵まれました。 前川邸は1942年竣工の外観は切り妻屋根の民家風 されど内部は当初はクツのまま家に入り寝室で靴を脱ぐという モダンな生活様式を取り入れた家。おかげで玄関はとても狭い。 (靴を脱いで家に入る様式にすぐに変更したそうですが) 寝食分離をいち早くとりいれ 当時としてはモダンなキッチンや水洗洋式トイレ 輻射式スチーム暖房機など 戦時中にもかかわらずとてもモダンでリッチな空間の住宅です。 建築統制規制があって30坪制限や 金属が使えないので建具のレールを堅木で代用するなど いろいろな工夫にもあふれています。 自邸をコンクリートに建て替えるときに 軽井沢の別荘に解体保存していたものを 建築史家の藤森さんが聞きつけて、 小金井の江戸東京たてもの園に移築したのだそうです。 知らなかった〜 原型に限りなく近づけるために 例えば屋根の防水を杉のとんとん葺きで葺いたりと 現在から見れば逆に手間のかかるリッチな工法になっています。 今回の話で興味深かった話の一つは 平面が台形のダイニングテーブルの話。 中田さんによれば ダイニングテーブルが台形なのは 正面に座った人と視線が正面からぶつからず 落ち着いた雰囲気を持たすためとのこと。 「いい年をした夫婦が見つめ合って食事しないでしょう」 でも違う関係者の方の見解は 北側の景色をどの席からも見られる工夫なんじゃないかなとのこと。 ちなみにこのテーブルは 日本の女性建築家第1号になる 浜口ミホさんのデザイン。 他にも2階のキャンチレバーの床や浮いている階段等々 前川邸を再訪してじっくり体感してみたくなってきました おまけの話) 前川邸のレプリカが軽井沢に建っているそうです。 たてもの園で前川邸を見て感激した人が 大工さんに頼んでそっくりの家を造ったのだそうです。 上棟間近になって、周りの人から著作権は大丈夫なのと言われて 慌てて前川事務所に電話をしてきたそうですが、 もうすでに前川さんは他界していて、 事務所の人たちで話し合った結果 50年以上経っているので著作権は切れているし いいのでないの、ということになったそうです。
by u-och
| 2013-07-25 19:38
| Architecture
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